第17回日本運動疫学会学術総会および優秀発表賞のご報告
2014年9月18日に長崎大学文教キャンパスにおいて、日本運動疫学会として最初の学術総会である「第17回日本運動疫学会学術総会」が開催されました。
種田理事長の挨拶の後、基調講演として熊谷秋三先生(九州大学)から「運動疫学研究の成果と課題および今後の展望」について、生活習慣病・認知症
発症予防の観点から講演いただきました。我が国が世界に誇る久山町研究における運動疫学研究の成果などをご紹介いただくとともに今後の運動疫学研究
の方向性についても貴重な示唆をいただいた講演でした。
続いての教育講演では佐賀大学の田中恵太郎先生から「生活習慣病の遺伝子環境交互作用の解明を目指して」というタイトルで、日本多施設共同コーホート
研究(J-MICC Study:ジェイミック・スタディ)の一つである佐賀地区コホートの立ち上げに関するお話しや現時点での研究成果について講演いただきました。
参加者から、とても興味深い講演であったとの声が多数届けられ、今後も運動や身体活動にかかわらず、日本を代表するさまざまな疫学研究プロジェクトを
ご紹介する機会を設けたいと感じました。
一般発表では、通常形式の「一般発表」7演題に加え、「2〜3枚スライド・1つの話題」が1演題、「研究デザインあるいは研究計画の発表」が2演題報告
され、本学会らしい暖かく、質の高い質疑が展開されました。「一般発表」の最優秀発表者には浜松医科大学の柴田陽介先生と早稲田大学の岡浩一朗先生が
受賞されました(下記参照)。柴田先生、岡先生、おめでとうございました。
一般発表の後、学会化記念シンポジウムとして、今回の学術総会のテーマである「運動および身体活動と健康に関連する研究のさらなる発展」として、
理事長(種田行男先生)、副理事長(内藤義彦先生)の座長の元、新進気鋭の運動疫学者の先生方(中田由夫先生、金森悟先生、石井香織先生、笹井浩行先生)
にそれぞれのご研究の紹介や研究に対するお考えを紹介していただき、協賛企業である株式会社スズケンさんから長崎名物のカステラをいただきながら19時まで
活発な討議が続けられました。
さらに、学術総会後は、懇親会が開催され、ここでも活発な討議や意見交換がおこなわれました(学術総会の参加者:110人、懇親会参加者:62人)。
来年度の学術総会については、現時点(2014年10月)では会場や開催日は未定ですが、引き続き会員のみなさまに役立つ学術総会を開催していきたいと
考えています。来年も、みなさまの積極的なご参加、ご発表を楽しみにしています。
(学術委員会)
(柴田陽介先生からのコメント)
この度は栄誉ある優秀発表賞を頂き、誠に有難うございました。発表者を代表して御礼を申し上げます。今回発表させていただきましたJMSコホートは、
本発表の共同発表者でもある早坂信哉先生、石川鎮清先生、萱場一則先生、後藤忠雄先生、中村好一先生、JMSコホート研究グループの先生方の長年の
ご尽力により実施されたコホート研究です。先生方のご苦労がなければ、今回の受賞に至りませんでした。この場をお借りして感謝申し上げます。
また、私の所属する浜松医科大学健康社会医学講座の尾島俊之先生、中村美詠子先生、岡田栄作先生からも助言やサポートを賜り感謝申し上げます。
この栄えある優秀発表賞を励みに、今後も人々の健康増進に寄与する研究ができればと思っております。今後とも宜しくお願い致します。
浜松医科大学 健康社会医学講座 柴田陽介
(岡浩一朗先生からのコメント)
この度は「地方中核市在住中年者の活動量計評価による座位行動パターンの特徴」という発表に対し、栄誉ある賞をいただき誠にありがとうございました。
本発表は、柴田愛先生(筑波大学体育系)、石井香織先生(早稲田大学スポーツ科学学術院)との共同研究です。研究計画の段階から発表当日の朝まで
かかったデータ分析に至るまで、非常にご尽力をいただきました。また、研究データの収集に関しては私の研究室の大学院生にも多大なるサポートを
いただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。さらに、サバティカルで大変お世話になったNeville Owen先生(Baker IDI Heart &
Diabetes Institute)および杉山岳巳先生(University of South Australia)にも、本研究を進めるにあたり貴重な助言をいただきました。
日本における座位行動研究はまだ始まったばかりですが、本発表を含めこれからも数多くの研究成果を発信していけるよう精進していきたいと思います。
早稲田大学スポーツ科学学術院 岡浩一朗
受賞者の発表の様子(柴田陽介先生)
受賞者の発表の様子(岡浩一朗先生)
表彰式(柴田陽介先生)
表彰式(岡浩一朗先生)